読書感想文:改訂新版・プロのためのLinuxシステム構築・運用技術
(11/30に出して12/1にちょっと追記しました。)
はじめにおわび(またか)
[改訂新版]プロのためのLinuxシステム構築・運用技術 (Software Design plus)
- 作者: 中井悦司
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/09/22
- メディア: 大型本
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以前(といっても2013年)、「プロのための Linuxシステム・10年効く技術」を献本いただき感想を書きました。それから、「プロのためのLinuxシステム構築・運用技術」が改訂されるということで、こちらも献本いただきました。
しかしながらまったくもって私の怠慢でレビューを書くことが遅くなり、本当にごめんなさい。遅くなっただけ、約1年、実際に仕事で役立ったところも加えて書きます。
どんな本か
この本は2016年に発行された、RHEL7対応の、「上級者」および「(RHEL7系の)Linuxを操作して飯を食っている人」のための本である。本の裏表紙には、「Linuxのインストール経験があり、基本的なコマンド操作とviエディターの操作ができる方を対象としています」と書かれている。また、本屋等で立ち読みができれば、「はじめに」の項目を読んでいただきたい。
最近話題になっている「40代のどうしようもないIT先輩」にありがちな、「俺も若いときは苦労した」から「お前も同じ苦労をしろ」という本ではない。そんなくそい40代が知ろうともしない、RHEL7時代のトレンドもしっかりおさえてある。*1
難易度
おそらく、必要なところから読まれるタイプの本なので、全体を通してみたときは、同じくらいかなあと思うし、すぐに仕事で必要でない部分などは、難易度が高く感じられるかもしれない。(前もそうだったけど)第1章のインストールのところは、今すぐ必要じゃなかったらとりあえずとばしていいと思う。
後述する第2章の2.4(構成管理・変更管理・問題管理)と第6章は、経験の無い人にとっては毛色の違う内容だが、「個人で趣味でLinuxをさわる」立場から「プロとしてLinuxを操作して飯を食う」立場にシフトしたい人*2には必須の内容である。
また、このシリーズでは恒例となっている、参考文献リストや、本文中の文献リストから、紹介されている本をどんよくに読めば「楽しい」ことも、引き続き推せんしておきたい。
1年ほど現場に置いてて、ふせんを入れたところ
そして1年ほどレビューをねかしていたので、それぞれの章をどうこうっていうより、実際に現場に持って行って、どこを読んだかっていうほうがいいと思うので、ふせんを入れていたところ(のうちのいくつか)をピックアップします。
- P.63,2.2.2,データバックアップの機能
- というよりたぶんこれお約束のアレの書き方をたしかめるためにふせん入れてるなあ
- ファイルディスクリプタとかログの捨て方とか
- ログは捨てないほうがよいって話も見てたと思う→http://sfujiwara.hatenablog.com/entry/20120613/1339547638
- P.184,5.1.1,プロセスシグナルとプロセスの状態遷移
- たしかZってゾンビだったよねとかそういうやつ
- P.211,5.3.3,NFSのデータバッファリング
- たぶん誰かに聞かれて調べたんじゃないかなあ(記憶がない)
- P.239,6.3.1,パフォーマンスの問題とは
- vmstat,iostat,dstatについて
- dstatの例とか見てたと思う
そのほかもいろいろあって、つまりはどこの部分も役にたっています。(強調)
運用面での記載について
仕事ではここ10年弱運用に入っているので、第2章の2.4(構成管理・変更管理・問題管理)と第6章については興味深く読みました。2章に書いていることが概要で、6章に書いているのがLinuxサーバでの、ログの収集等の具体例になります。
もしも、先輩からの教育機会を得ることが乏しくて、このあたりに自信がないという人は、まずは5W1Hを明らかにして設定、履歴を残していくところからはじめておいて、ここで挙げられているような、運用メンバー・運用責任者・サーバー管理者の役割を分けて処理していくといいなと思いました。(ひとりでも、立場を意識して行動するというのが大事です)
6章の6.1.1も、読みがいがあります。日頃の業務で気を付けて取り組めているか、改めて考え直すことができました。このへんが苦手な人は、一覧表を作って、それを埋めていくように状況をうかがっていけばいいと思いました。
6.2以降で紹介されているsosreport(1)は、ぜひとも使いこなしたいところです。
2017年時点での個人的なおすすめ本を足すとしたら
この本だけでも必要十分に知識を得て、勉強する道が広がります。さらに、個人的にそばに置いておくとよさげな本を紹介しておきます。
まず教科書的にお世話になっているLPICのやつ。基本は何回でも見直したいです。お客さんのところによってはすぐにWWWで検索できないってこともあるので。
Linux教科書 LPICレベル1 Version4.0対応
- 作者: 中島能和,濱野賢一朗
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2015/06/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ことしはそれに加えて「インフラエンジニアの教科書」シリーズがツボりました。
- 作者: 佐野裕
- 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
- 発売日: 2013/10/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 佐野裕
- 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
- 発売日: 2016/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あと、とっさに役立つIIJインターネット便利帳が付録にあるソフトウェアデザイン*3、「Interfaceコンピュータ手帳2018」が付録のインターフェースもどうでしょうか。うっかり買いますよね!
- 出版社/メーカー: CQ出版
- 発売日: 2017/11/25
- メディア: 雑誌
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- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/11/17
- メディア: 雑誌
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ありがとうございました
最後になりましたが、技術評論社のI様、本を送ってくれてありがとうございました。
*2:ぶっちゃけ年収を1.5倍以上にしたい人
*3:2017年12月号の紙版は、12月1日のお昼の時点で、本屋さんでの店頭在庫しか残っていないそうです。https://twitter.com/gihyosd/status/936417881549561858